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シーリング(コーキング)と塗装

シーリング材の用途

シーリングの用途は外壁・屋根のひび割れの補修から始まり、隙間の処理、部材の端末処理、外壁材の繋ぎ目の処理まで非常に広い範囲で使用されています。

シール材充填ひび割れ処理 外壁手直し隙間処理
端末シール部材の端末処理 シーリング外壁繋ぎ目(ジョイント)・サッシ廻り処理

特にサイディングボードやALCパネル、プレキャストコンクリート(PCa)の外壁材の場合、外壁内への水の侵入を防いでいるのは、外壁材自体や表面の塗装ではなくシーリングになりますので、外壁を構成する部位の中でも特に重要な役割をシーリングは担っています。

シーリング材の種類

シーリング材は大きく分けて1成分形・2成分形の2通りあります。

1成分形シーリング材

1成分形のため混ぜ合わせる手間を必要とせず、このまま使用できるシーリング材になります。
1成分 シーリング材缶入りのものもありますが、カートリッジと呼ばれる専用の容器に充填されたものが多く流通しています。
1成分 シーリング材

2成分形シーリング材

基材と硬化剤、着色を行うトナーを混ぜあわせて使用するシーリング材になります。
2成分 シーリング材サンスター技研 ペンギンシールMS2500typeNBシーリング材の撹拌は専用の機械で行う必要がありますので、1成分と比べると少々作業性は悪いですが、
シーリング撹拌コスト面は非常に優れており、同容量で比べると1成分形の半分程度の費用となります。
但し、2成分型の場合は1成分型に比べると少々問題も生じるリスクも高くなりまして、代表的なもので、

  • 撹拌不足からによるシーリング材の硬化不良
  • プライマー不足からによる密着不良

なども場合によっては発生する恐れがありますので、施工の際には注意が必要となります。

1成分形シーリング材と2成分形シーリング材の違い

1成分形 シーリング材 2成分形 シーリング材
特徴 湿気硬化型 カートリッジ開封後使用可 反応硬化型 基材・硬化剤・トナーを撹拌する必要あり
コスト ✕ 非常に悪い
問題点 特になし 撹拌不足による硬化不良、プライマー不足からの密着不良に注意

 1成分形・2成分形の違いはシーリング材が硬化するまでの過程やコスト面の違い程度、施工品質によるリスクは2成分形のほうが高くなりますが、基本的な性能はどちらも同じものになります。

 シーリング材の主成分

 シーリング材の主成分は、

  • シリコーン
  • 変成シリコーン
  • ポリウレタン
  • ポリサルファイド
  • アクリル
  • 油性

と、さまざまな種類があります。

それぞれの用途は、

特徴 用途
シリコーンシーリング

非常に耐候性に優れる 
塗料が密着しないため塗装不可周囲を汚染する特徴あり

室内水回り
ガラス
アクリルパネル等
変成シリコーンシーリング 塗装が可能
柔軟性があるためムーブメントの大きな部位にも使用可
非汚染形あり
サイディング目地・サッシ廻り
金属
プレキャストコンクリート(PCa)
ポリウレタンシーリング 塗装が可能
耐久性は優れないため単独での使用は不可(塗装の必要あり)
非汚染形あり
ALC
コンクリート(塗装を行う場合)
ポリサルファイドシーリング 表面が汚れにくい
耐候性は変成シリコーン系と同等程度
柔軟性はあまり無い
タイル
アクリルシーリング 水性(エマルション)
隙間等を塞ぐ程度で使用する
ALC(改修時には使用しない)
油性 一般的にコーキングと呼ばれる
表面の硬化のみしか行わないため中は未硬化

となります。

低モジュラス・高モジュラス

これらの種類の中で戸建の塗装工事で使用する機会が多いのは、変成シリコーンシーリングとポリウレタンシーリングの2種類になりますので、これらを例にあげてもう少々詳しい説明をしていきたいと思います。

共に1成分形・2成分形があるというのはすでに説明の通りですが、

1成分形
ポリウレタンシーリング 変成シリコーンシーリング
1成分型 ポリウレタンシーリング「サンスター技研」ペンギンシール999typeNB 1成分 変成シリコーンシーリング材「シャープ化学工業」SHARPIEヘンセイシリコーンNB-LM
2成分形
ポリウレタンシーリング 変成シリコーンシーリング
2成分形 ポリウレタンシーリング「サンスター技研」ペンギンシールPU9000typeNB 2成分形 変成シリコンシーリング「サンスター技研」ペンギンシールMS2500typeNB

これから更に、

  • 「高モジュラスタイプ」 動き(ムーブメント)に対して、反発力(応力)が大きい
  • 「低モジュラスタイプ」 動き(ムーブメント)に対して、反発力(応力)が小さい

の2通りのシーリング材に分かれています。

通常ではあまり聞き慣れない「モジュラス」という言葉は、物体(この場合ではシーリング材)に対して引張方向に特定の力を加えたとき、
モジュラス原形を保つため抵抗しようとする引張応力のことになりますが、簡単に一言でいうと「戻る力」です。
モジュラスそれぞれこのモジュラスに違いがあり、低モジュラスタイプのシーリング材は戻る力が低い(小さい)シーリング材、高モジュラスタイプのシーリング材は戻る力が高い(大きい)シーリング材の2種類があります。
モジュラス戸建住宅のサイディングボードやALCパネルなどの外壁目地やサッシ廻りは動くことが想定される部位となりますので、動きが生じた際に戻る力が高い(大きい)シーリング材を使用した場合、常にシーリング接着面やシーリング材自体に高い負荷(戻ろうとする力)が掛かり続けてしまいます。

常に高い負荷が掛かり続ける状態というのはシーリング材にとっては良い状態とはいえず、その結果、接着面の剥離等の問題が生じることもあるため、
シーリング剥離サイディングボードやALCパネルなど動くことが想定される外壁は、低モジュラスタイプを使用してシーリング材に掛かる負荷を少なくすることが重要です。

低モジュラス 応力緩和型 シーリング材

また、変成シリコーン・低モジュラスタイプのシーリング材の中には、応力を減少させる「応力緩和型」というタイプもありますので、
応力緩和型サイディングボードのシーリングにはこのようなシーリング材を使用する事が望ましいです。

汚染(ブリード)

シーリング材はシーリング材の成分「可塑剤」によって塗装表面が汚染(ブリード)するタイプと、
ブリードブリード非汚染(ブリードしない)タイプの2種類あります。

特に上の写真のような症状はシーリングの上に塗装を行った場合に顕著に表れますので、塗装工事に使用するシーリング材は非汚染(ブリードしない)タイプを使用することが重要となります。
ノンブリードタイプ

外壁種類別シーリング材

サイディングボード

塗装工事(シーリングの上に塗装を行う場合)において、サイディングボードに使用するシーリング材は、

  • 応力緩和型
  • 低モジュラス
  • ノンブリード

という3つの条件を兼ね備えているシーリング材が最も適したシーリング材となります。
1成分 変成シリコーンシーリング材これらの条件を備えているシーリング材は現在(2013/11/17)では1成分形しかないため、2成分形のシーリング材を使用する場合はブリード等のリスク・対策を検討の上、選定を行う必要があります。

※ポリウレタンシーリング材は低モジュラスタイプはあっても応力緩和型がありません。

「変成シリコーンシーリング材 一覧」

「メーカー」材料名 成分 ノンブリード 応力緩和型
「シャープ化学工業」
シャーピー ヘンセイシリコーンNB-LM
(1成分形 カートリッジタイプ)
変成シリコーン

「シャープ化学工業」
シャーピーシール LM-1 NB
(1成分形 4L缶タイプ)
変成シリコーン

 「横浜ゴム」
ハマタイト スーパーワンLM
(1成分形 カートリッジタイプ)
変成シリコーン
 「横浜ゴム」
さいでぃんクン+1
(1成分形 4L缶タイプ)
変成シリコーン
 「サンスター技研」
ペンギンシール 2550TypeNB
(1成分形 カートリッジタイプ)
変成シリコーン
 「サンスター技研」
ペンギンシール 2570Type1
(1成分形 4L缶タイプ)
変成シリコーン
 「横浜ゴム」
ハマタイト スーパーⅡNB
(2成分形 4L缶タイプ)
変成シリコーン
 「サンスター技研」
ペンギンシール 2500TypeNB
(2成分形 4L缶タイプ)
変成シリコーン
「シャープ化学工業」
シャーピーシール LM-1 マルチカラー
(2成分形 4L缶タイプ)
変成シリコーン
 「横浜ゴム」
さいでぃんクン
(2成分形 4L缶タイプ)
変成シリコーン
 「サンスター技研」
ペンギンシール 2570
(2成分形 4L缶タイプ)
変成シリコーン

 ALCパネル・コンクリート

ALCパネル・コンクリートで使用するシーリング材は、

  • 低モジュラス
  • ノンブリード

この2つの条件を備えているシーリング材になります。
サイディングボードではあった応力緩和型という条件がありませんので、変性シリコーンシーリング材・ポリウレタンシーリング材のどちらでも施工可能となります。
2つの条件を満たすシーリング材はサイディングボードのシーリング材に比べ非常に豊富な種類がありますが、一般的にコスト的な問題からポリウレタンシーリング材を使用する場合が多いようです。
ポリウレタンシーリング材

プレキャストコンクリート(PCa)

プレキャストコンクリートで使用するシーリング材もALCパネル同様に、

  • 低モジュラス
  • ノンブリード

この2つの条件を備えているシーリング材になります。
変成シリコーンシーリング

ワーキングジョイント・ノンワーキングジョイント

サイディングボードやALCパネルの目地は動くことが想定される事から、ワーキングジョイントと呼ばれる目地になります。

サイディングボード 目地 ALCパネル 目地

鉄筋コンクリート(RC)造の窓廻りや打継ぎ目地、磁器タイルの目地などは動きが少ない事から、ノンワーキングジョイントと呼ばれる目地になります。

打ち継ぎ目地 タイル目地

 これらの目地はそれぞれシーリングの施工方法が変わります。

  • ワーキングジョイントの場合 : シーリングは2面接着で施工
  • ノンワーキングジョイントの場合 : シーリングは3面接着で施工

2面接着と3面接着の違いは、目地底となる部分を接着するか否かの違いとなりまして、2面接着の場合は目地底となる部分にボンドブレーカーの貼付、または
バックアップ材の装填等を行いシーリング材が目地底面に接着することを防ぐ絶縁措置を行い、
ボンドブレーカーシーリング材の充填を行う施工方法となり、
2面接着3面接着はそのような絶縁措置を行わずにシーリング材の充填を行うといった施工方法の違いがあります。

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シーリング材は接着面が2面か3面かで伸び率が全く変わります。
従って、外壁の動き対応することが目的とされるサイディングボードやALCパネルの目地は2面接着で施工を行い、鉄筋コンクリート(RC)造の打ち継ぎ目地や窓廻りは、動きよりも漏水防止という目的から水が入り込む隙間や空間を作らないよう、3面きちんと接着させる施工方法で行う、というように建物構造やシーリングに期待する目的によって、適切な方法で行うことが重要です。

 

 

 

シーリングの施工によって起きる問題

シーリングは施工品質によって問題が生じやすい部位となりますので、適切な施工というものが非常に重要となります。

既存シーリング材の撤去不足、プライマーの塗布不足、ワーキングジョイントの3面接着から起きるシーリング接着面の剥離や、
シーリング剥離シーリング材の選定ミスから起きる塗膜剥離など、(写真は塗装不可となるシリコーンシーリング材を使用)
塗膜剥離塗膜剥離施工に起因する問題も生じやすいため、塗装工事において特にきちんとした施工品質が求められる工程のひとつとなります。

 

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