見た目は軽石のようでコンクリートとは思えないほど軽い板状の外壁材で高温高圧養生処理して作られた「軽量気泡コンクリート」と呼ばれる建築資材のことです。表面・断面には気泡穴がたくさんあり、中には防錆処理を施されたラス網・鉄筋が入っています。断熱性に優れています。
ALC壁はパネルを縦横に繋いで1つの壁になっており、継ぎ目にシーリング材を充填することで建物の動き・歪みに追従できる構造になっているので、継ぎ目以外にひび割れをすることは少ないのですが、ALC素材自体は吸水性がある為、防水機能の役割を担っている塗装の膜が劣化することによって水分等が浸入し、パネルの中にある鉄筋・ラス網が錆びてきます。錆が進行すると鉄は膨張する為、その力によってパネルの内側から割れるわけです。これが、劣化の進行(表層の脆弱化→ひび割れ→浮き→欠損→鉄筋露出)の経緯です。
外壁は工事完了時から紫外線・風雨・気温の変化などにより過酷な環境下にあります。防水の最前線にある塗膜の劣化は目視できます。褪色と白亜化(チョーキングといって、壁を撫でるとパウダー状のものが手に付きます)が代表的なものです。密着不良による塗膜の浮き・剥れは塗装施工上を起因とするものと水分等浸入によるものとありますので、原因を明らかにして対策を立てた後に再塗装を施すべきです。
シーリング材は乾燥後、ゴムのような弾力性を持ちます。劣化が進行すると、まず弾力が無くなり建物の動きに追従できず接着面から剥離したり切れたりします。目視で確認できますのでご自分で点検してみるのも良いでしょう。
外壁を打診棒で軽く叩くと音の違いでパネルの浮きが有るか無いかが判りますので最初に検査をします。
浮きが無く、ひび割れ(表層部のクラック)のみの場合はフィラーの刷り込み(隙間を埋める材料)またはシーリング材で隙間を埋めます。酷いひび割れ(幅1mm以上の深層部に及ぶクラックの場合はUカット工法にて隙間を埋めます。Uカット工法とはクラック部分を機械でU字型に溝を彫った後に密着力を高めるプライマーという材料を塗ります。乾燥後シーリング材を充填して乾燥後にセメント系カチオン性下地調整塗材(密着性の優れたモルタルのようなもの)をコテ塗りします。そして下地と塗膜の密着力を高める下塗材シーラを塗布し既存外壁と模様を合わせるパターン処理をします。なぜこの処理が必要かは、建物の歪み等は地震で無い限り同じ方向にかかりやすくそれと同様にクラックも同じ場所にできやすい傾向にありますので多少の動きに追従するシーリング材を入れ、乾燥後に弾力のある材料を塗装することで塗膜が切れずクラックによる水分等の侵入を防ぐ為です。
水分等の浸入によりパネルの中にある鉄筋・ラス網の錆による鉄の膨張が起因であることが多いです。その箇所のパネル部分は落として、錆びた鉄部分をケレンして錆止めを塗布します。その後、セメント系カチオン性下地調整塗材(密着性の優れたモルタルのようなもの)でパネルの修復をします。
浮いた塗膜や剥がれかけた塗膜はケレンをおこない綺麗に撤去します。撤去をすると膜厚分の段差がでる為、塗装後補修跡が出ない様にケレンした箇所に密着力を高める下塗材シーラを塗布し、乾燥後セメント系カチオン性下地調整塗材(密着性の優れたモルタルのようなもの)をコテ・刷毛で塗ります。乾燥後に既存の外壁と模様をあわせるパターン処理を行います。
塗膜の浮き・剥がれは水分等の浸入や密着不良が起因と考えられるので水分等が浸入していると思われる箇所を特定し、水分等の浸入を防ぐ処理を行わないといけません。それを行わなければ先に記した下地処理を行っても同じ事の繰り返しになってしまいます。
継ぎ目及びサッシ廻りの既存のシーリング材は撤去し、新しくシーリング材を充填する打ち替えが基本となりますが、既存のシーリング材にまだ弾力があり打ちしろ(シーリング材を重ねて充填するだけの深み)がある場合は増し打ち(既存のシーリング材の上から被せる)を施すこともあります。シーリング打ち替えは高圧洗浄前に行います。これは高圧洗浄による継ぎ手部からの漏水防止のためです。
シーリング材にも適材適所で使い分けるべく種類がいくつかあります。ALC壁の継ぎ目・サッシ廻りには変性シリコンのシーリング材かウレタンシーリング材を使用します。変性シリコンシーリング材は耐久寿命が長く、動きに対しての追従性に優れています。シリコン系は塗膜が密着せず塗装が不可能なのですが、その中でもこの変性シリコンは塗装が可能なのです。ただし、ブリード(シーリング材と塗膜が化学反応をおこし、仕上げ面の塗膜が粘着性をもつことで埃を吸い付けてしまうため壁面が黒く変色する現象)を起こしてしまう為、変性シリコンシーリング材の充填乾燥後にブリードを防ぐプライマーを塗布します。その後、塗装工程に移ります。ウレタンシーリング材はノンブリードタイプ(塗膜と触れても変色しない)のものを使用します。
適した材料を紹介する前に専門的なことになりますが出来るだけわかりやすく記載しますのでご理解ください。手抜き工事の予防発見にも役立ちます。
(下地調整塗材はサイディング壁には通常使用することはありません。)
例えば微細なひび割れ・ピンホール(巣穴)などが多い下地に塗装が出来るようにするための材料です。
下地と塗膜の密着力を高める為の材料です。通常シーラと呼ばれます。
塗膜の機能を決める材料です。機能とは歪みによるひび割れに対して追従する性質であったり、断熱・遮熱工法の場合には断熱性を司る材料を使用します。
塗膜の性能を決める材料です。性能とは耐久・低汚(汚れにくさ)を決めること、例えばウレタン・シリコン・フッ素等のことです。
材料はこの4つにわけられます。中塗材は1回塗布でよい場合と2回塗布が必要な場合と工法や材料で異なります。上塗材は絶対2回塗布です。一般的に[2]の下塗材が下塗、[4]の上塗材の1回目が中塗、2回目が上塗と会話上、このようにされることが多いようです。間違いではないのですが中塗材を上塗1回目と勘違いが無いように見積もりの内容を確認されるときに塗布回数も確認されたほうがよいかと思います。工法によって塗布回数も異なりますし、よっては材料費の違い分+手間代の違いにより単価も変動しますので。
ALC壁には動きに追従しやすい塗膜をつくることがベストです。つまり、乾燥後に弾力のある性質をもった材料を選択するとよいでしょう。代表的なものを下記にあげますので詳しくは塗料紹介ページをご覧ください。
1液水性微弾性サーフェーサー(商品名・水性ソフトサーフSG)
これは下地調整塗材+下塗材+中塗材を兼ねた下塗材です。特長として、ひび割れ追従性で3工程を1工程に出来ることで工期短縮・コスト削減及び機能性に優れています。1回塗布です。
下塗材に水性ソフトサーフSGを使用した場合は水性(水で希釈)でも溶剤(塗料用シンナーで希釈)でも上塗材として塗布することができます。
(商品名・水性コンポウレタン/水性セラミシリコン/水性セラタイトSi・クリーンマイルドウレタン/クリーンマイルドシリコンなど)2回塗布です。
水性弾性シーラー 1回塗布です。
高弾性アクリルゴム系壁面防水化粧材(商品名・レナエクセレントA)
ひび割れに対し抜群の追従性と温度変化に対しても安定した伸長性能を発揮します。膜厚を付けるため2回塗布です。
水性(水で希釈)でも溶剤(塗料用シンナーで希釈)でも塗布できますが弾性でなければなりません。
下塗材(弾性)+中塗材(高弾性)+上塗材(弾性)=塗膜の厚みが増し、再発生したひび割れに対しての追従性も高く防水性が飛躍的に向上すると共に、長期に亘り建物を保護します。(商品名・水性弾性セラミシリコン/水性弾性セラタイトsi/クリーンマイルドウレタン弾性/クリーンマイルドシリコン弾性など)2回塗布です。